当社の代表取締役社長 堀 幸平のインタビュー記事が、
英国通信社のwebサイト「THE WORLDFOLIO」に掲載されました。
記事和訳
三和商工株式会社堀幸平社長とのインタビュー一問一答 日本についての特別レポート
Q.貴社および貴社の事業分野に関して簡単にご説明ください。
A.弊社は金型補修機器を製造しています。金型は国際的な製造サプライチェーンを下支えしていますが、その重要性は最終消費者や一部の製造業者にさえもほとんど知られていません。
私の父が1967年に三和商工を創業しました。当時、大手自動車機器メーカーが放電被覆装置を製造していましたが、売上は伸び悩んでいました。父はこの装置を分析し、別の事業分野に持ち込めば、売上が伸びる可能性があることを理解しました。 そのため、父は大手自動車機器メーカーの経営陣と交渉し、販売代理店の独占契約を結びました。弊社は、放電被覆装置とともに大手自動車機器メーカーの金型研磨装置である超音波研磨装置を販売することで、事業をスタートさせました。
弊社は販売会社としてスタートしましたが、父は製造会社になることを夢見ていました。名刺の社名三和商工の「工」という漢字は製造業を意味しています。三和商工という社名には、父の製造会社になるという夢が込められています。
1996年に大手自動車機器メーカーは、放電被覆装置と超音波研磨装置の製造を中止することを発表しました。弊社は大手自動車機器メーカーから超音波研磨装置と放電被覆装置を製造する権利を獲得し、製造会社になりました。私が入社したのもこの年です。2003年に父が死去し、私が社長に就任しました。 1996年以降、弊社は溶接機事業をスタートさせ、溶接機と研磨装置に製品の幅を広げています。私が社長に就任した後、金型のもう1つの補修工程である洗浄に取り組みました。これにより、弊社は、洗浄、研磨、溶接の金型の補修工程を手掛けるようになりました。
Q.第4次産業革命を迎えようとする中、多くの産業が技術革新による大きな変化を経験しています。SW-V02などの製品または最も好評を得ている製品の超音波研磨装置にこれらの変化はどのような影響を及ぼしているのでしょうか。
A.第4次産業革命のキーワードとして、自動化、極小化、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT )が挙げられます。弊社または弊社の事業分野への直接的な影響がどのようなものであるのか現時点で判断するのは困難です。答えを考えるにあたり、金型の補修には2つの特徴があることが重要と考えています。第1に、補修にあたり、弊社は先端の技術と専門技能を活かしています。第2に、弊社の機械は依然としてアナログであり、アナログの分野で多くのお客様を抱えています。例えば、金型が高額の機械で製造されるとしても、誤差の範囲が残されます。マイクロミリメーターの隙間やひだがある場合、人間の手により研磨されなければなりません。機械はまだその正確さのレベルに達していません。
弊社は同じ機械を42年にわたり販売し続けています。弊社のエンドユーザーの皆様は、これを「大きな奇跡」と呼んでいます。当然、SW-V01からSW-V02にバージョンアップされていますが、基本機能は変わっておらず、このことが、お客様が奇跡と呼ぶ理由となっています。工作機械の観点から言うと、研磨の工程を自動化する機械が存在します。一部の工作機械メーカーは自動研磨装置を製造しようとしていますが、現時点では幅広く使用されていません。金型を研磨する際に、砥石が必要となります。砥石に欠陥がある場合、人間の手でしか修理できません。したがって、人間の行う作業を機械で再現するまたは変えることはできません。こうした状況は当面の間変わらないでしょう。
Q.現在開発中の新製品はありますか。
A.新たな金型洗浄装置を考案しています。設計と研究開発の段階はすでに完了しています。JIMTOFで展示する予定です。その後、販売を計画しています。
Q.機械の基本機能が変わっていないため、お客様が貴社の機械を奇跡と呼んでいると先ほど説明されました。現在、製造業では多くの模倣品を目にします。貴社の事業分野において、基本機能とともに、奇跡を起こすことをどのように成功できたのでしょうか。
A.この件に関しては、幸運であったというのが正直な気持ちです。50年前には、この分野の最初の進出者でした。当然ながら、弊社の機械と技術は、日本だけではなく海外でもさまざまな製品で模倣されました。貴紙のレポートでは、弊社を「隠れたチャンピオン」と表現されていますが、弊社は「隠れた」とは考えていません。三和商工という社名が「金型補修の先駆者」を連想されることを誇りに思っています。40~50年前には、弊社の製品をこの分野で発売するに際して、営業マンは着実に進める手法と戦略を基本として製品を紹介していました。放電被覆装置と超音波研磨装置の分野で先駆者であったため、これをてこにして弊社の製品をこの分野で幅広く浸透させることができました。弊社のお客様はLAPTRONという名前を聞けば、金型研磨装置を最初に想像されるでしょう。ウォークマンという名前を聞けば、音楽を聴く装置を想像するのと同様です。
Q.長年にわたり、貴社は日本以外の地域にも進出されてきました。三和商工は1984年に、香港と中国への輸出をスタートさせました。貴社の海外戦略について教えてください。
A.弊社は、欧州、東アジア、米国およびメキシコで販売網を構築しています。海外で販売網を拡張する際に、現地企業には三和商工の販売代理店になってもらっています。現在、弊社の販売網は世界中に広がっています。しかし、すべての国が弊社にとって理想的な状況にあるとは考えていません。弊社のサービスは独自のものであり、カタログや電話を通じて販売することはできません。エンドユーザーやお客様の前でデモを行うことが100%必要です。お客様に優れた成果を得てもらうためには、お客様に対する教育が不可欠です。弊社の営業スタッフは販売代理店を手厚くフォローしています。地域別では、ドイツに古くからの非常に強固な販売網があるため、欧州連合が最も重要な地域であると考えています。ドイツを足かがりにして、弊社は欧州全域にわたり製品を販売しています。中国本土では、盗用の横行という困難に直面しました。中国は驚異的な製造力を有するものの、模倣されるリスクを覚悟し、弊社の強みである強力な製造技術と優れたサービスを活かしてこれに対抗しなければなりません。
Q.会社の成長を維持するための中期的な戦略について教えてください。
A.将来的に見て、金型の利用が減ることはないでしょう。過去数年間に自動車業界は急成長しています。自動車業界では大量の金型が求められており、弊社では同業界のお客様を多く抱えています。もちろん、家電、電気機械などの金型なしには製造できない製品もあります。しかし、自動車が依然として弊社にとって最大の市場となっています。
現在、弊社は新たな分野への進出の可能性を検討しています。弊社の製品が金型以外の市場でも応用される可能性があると自信を持っています。見本市は、弊社がどのような製品を手掛けているのか金型業界以外の方々にも知ってもらうことのできる絶好の機会です。例えば、弊社の溶接機は金属加工や工作加工にも応用可能です。慎重にゆっくりと、弊社は成長の新たな柱を探しています。
Q.貴社の製品は製造工程においてなぜ非常に重要なのでしょうか。
A.金型は日本の基盤産業です。国の製造力を測るのに、その国が自動車製造業を有しているのか、そして自動車製造会社が何社あるのかが1つの指標となります。金型なしには、自動車製造会社は存在できません。よって、既存の自動車製造会社の数によりその国の製造力を分析することが、金型または金型関連企業を測る指標にもなります。金型産業はどの国にとっても基盤となっています。もっと多くの人が金型産業の役割と重要性を知るべきです。多くの人が、トヨタ、日産、ホンダについて知っている一方で、製造工程について知りません。金型は車や愛用する製品の基本部分を担っています。
また、日本は政治的課題に直面しています。日本政府は、「ものづくり補助金」という助成を行っていますが、適用範囲が機械と工具に限られています。若い技術者を中心に教育を行わなければならず、補助金よりも重要であると考えています。政府がその種の助成を行うのであれば、人材教育に投資されるべきです。「ものづくり」は「製造」を意味しますが、私は「ひとづくり」を好みます。「ひと」とは、「人間」、「製造する人」を意味します。同業者との競争は激化していますが、すべての同業者が同じように金型の製造力の向上を目指しています。
Q.10年の間にどのような目標や目的を達成していたいとお考えですか。
A.会社の規模を大きくする夢は持っていません。現在の社員数は15名で、10年で20~25名に増える可能性があります。また、本社を移転するかもしれません。しかし、基本的に同じ事業を続けているでしょう。弊社の事業はエンドユーザーと密接な関係にあります。すべての営業マンと技術者は、新入社員であろうが、職位が低かろうが、会社の経営に加わるべきであると社員に伝えています。会社を持続させることも、弊社にとっての責任であり、当然納税する責任があります。将来は現在よりも120%規模が拡大している可能性があります。現在、弊社には52年の社歴があり、これを100年まで伸ばしたいと考えています。
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